鼻中隔弯曲症
鼻中隔(びちゅうかく)とは、右鼻と左鼻を分けている真ん中の仕切りの壁のことを言いますが、上下と後方からの3枚の骨と前方の1枚の軟骨から構成されています。
この鼻中隔が右あるいは左どちらかに曲がってしまって、片側の鼻の鼻づまり、いびき――などが起こってくるのが鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)です。
鼻中隔弯曲症の原因
ヒトは、小さいころから顔の成長に合わせて3枚の骨と1枚の軟骨も一緒に成長していくのですが、これらはすべてが同じ比率で成長するわけではなく、微妙にずれて成長します。
つまり、鼻中隔はある日突然に曲がるわけではなく、顔が成長していく思春期に少しずつ曲がっていくことが一般的なのです。
これには、鼻筋を形成する鼻骨の成長も関係しています。
日本人を含む東洋人は、鼻筋を形成する鼻骨の成長が悪い(つまり鼻が低い)ため、鼻中隔のゆがみが出やすいと言われているのです。
鼻中隔弯曲症の症状
鼻中隔が曲がってくると、鼻づまりが出てきます。
鼻中隔の日々の変化はわずかなため、本人も気づかないうちに、いつのまにか気づいたら鼻づまりが起こっていたということも少なくありません。
アレルギー性鼻炎などが発症し、両外側の下鼻甲介(かびこうかい)が腫れてきて、鼻の曲がりが強い側ほど鼻づまりがひどいということで鼻中隔の曲がりを気づくこともあります。
ひどくなると、呼吸にも支障が生じ、睡眠不足等のつらい症状が出てしまいます。
鼻中隔は鼻組織の内部にあるので、外見からではその曲がりの有無や程度が分かりませんが、クリニックで診察すると容易に診断できます。
鼻中隔は、鼻の骨や軟骨の成長に従って徐々に曲がってくるわけですから、鼻中隔弯曲症は、通常お子さんには見られず、成人の病気だと言えます。
実は、どなたでも鼻中隔はまっすぐなわけではなく、正常の方でも左右どちらかに多少は曲がっていますが、曲がり具合がわずかなので鼻づまりを起こすことはありません。
つまり、鼻中隔が曲がっていてもそれは普通のことで、鼻づまりがなければ病気といえるものではありません。
しかし、極端に曲がっている方は、左右どちらかの鼻だけがずっとつまってしまうので、常に軽い頭痛がするなど生活に影響するばかりでなく、アレルギー性鼻炎を併発したりすると、慢性副鼻腔炎(蓄のう症)になりやすかったり、いびき、口呼吸、においが分かりにくい――という症状が現われてきます。
鼻中隔弯曲症の治療
鼻中隔弯曲症の根本的な治療は、鼻中隔矯正術と呼ばれる手術です。
大学病院などでの手術は、全身麻酔により2時間程度、7日から10日間の入院が必要です。
しかし、弯曲が軽度であれば、対症療法でも症状をずいぶん改善することが可能です。
片方の鼻づまりに悩んでいるという方は、まずは、クリニックを受診し、治療を開始することをおすすめします。